備前軍記30


NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第28回「本能寺の変」は、天正10(1582)年6月2日未明。 桔梗の紋が描かれた旗が、本能寺を取り囲んだ。  数少ないとはいえ、信長に従う家臣たちはえり抜きの腕ききぞろいだ。しかし、圧倒的な戦力の差はいかんともしがたく、蘭丸は敵の槍に突かれて絶命した。

お濃の胸も、真っ赤な血で染まっている。 微笑むお濃を抱きしめ、信長はひと息にその胸を刺した。信長を捜す敵の声を背後に聞きながら奥へ進む。信長は最後に「敦盛」を舞い終えると、仁王立ちのまま太刀を抜き、刃先を首筋にあてがい、信長は一気に太刀を引いた。

本能寺はことごとく焼け落ちた。光秀は、毛利はもとより、越後の上杉、四国の長宗我部、関東の北条と、織田に敵対する者すべてに信長を討ち果たしたと書状を出した。     坂本城に戻った光秀は、早速評定を開いた。  「朝廷のご威光をもって、信長が壊したものをつくり直す。本来あるべき姿に戻すのだ」と光秀。

一方、遠く備中にいる官兵衛は、いまだこの事件を知らなかった。

水攻めで田畑を台なしにしてしまった村々に米を配っていると善助がとある農家で小寺政職を見つけたと知らせてきた。

ところがその夜、辰蔵という男が、フラフラになって官兵衛を訪ねてきた。信長の信任あつい長谷川宗仁の使いだという。

羽柴秀吉様か黒田宮兵衛様にお知らせせよと。 辰蔵が隠し持っていた書状には、信長の死という驚愕の事実が書かれていた。事は一刻を争う。秀吉の寝所へ急ぎ、書状を渡す。

秀吉はけげんそうな顔で読み始めたが、みるみる蒼白になり、その手が震えだした。

子どものように泣きじゃくる秀吉の肩を、官兵衛は激しく揺さぶった。

「 殿のご運が開けたのですぞ!」

「亡き竹中半兵衛様の思いをお忘れですか!・」 秀吉がハッとなる。

「今こそ、そのときでございます! 上様の死を毛利に悟られることなく、すぐに京へ引き返し、誰よりも早く謀反人・明智光秀を討つのです。」 ほどなく忍びの男が捕らえられ、明智から毛利へ送られた書状を未然に取り押さえることができた。

官兵衛の行動は素早く、火急の用件があるとして毛利の陣から恵瓊を呼び出した。

「毛利と早急に和議を結びたい。毛利の八か国の本領安堵はお約束いたします」

「何ゆえ、急にそこまで譲られるのじゃ?」

恵瓊が首をひねる。

「羽柴様が天下に名乗りをあげる好機が訪れたのでございます」

黒田官兵衛、一世一代の大勝負かここに始まった。

☆新釈備前軍記 備中高松の城攻め並びに所々城攻めの事2

同月四日の朝、宗治から検使派遣の要請があったので、秀吉は堀尾茂介を遣わした。清水長左衛門、その兄の月清人道、及び加勢として熊城した難波伝兵衛・近松左衛門、以上四人が舟に乗り、堀尾と対面の後潔く切腹した。そのため城兵はすべて助命され悉く退散した。

ところが、この前日の三日の夜の子の刻(午前零時ごろ)、京都の長谷川宗仁のもとより秀吉の陣へ早飛脚が到来した。そして、六月一日明智日向守光秀が謀叛を起こし、信長公、信忠郷を殺害したというしらせである。秀吉は即刻、信長の死を伝える毛利方の密使を捕えるため、西国往還筋に忍びの者を配置したが、白身は何も変わったことはないかのように、その翌四日の朝もいつものように馬に乗り馬印を持たせ陣廻りを行った。そこへ昨夜配置した忍びの者が、毛利方の飛脚を庭瀬(現岡山市庭瀬)で捕え、その所持した書状を奪い、飛脚とともに秀吉の本陣へ差し出した。また西国に赴く旅人をすべて留めたので、毛利家へは京都の変事は届かなかった。

毛利三家からの使者として、安国寺恵瓊が秀吉の本陣を訪れ、

「高松も落城し、清水宗治も自害致した上は、和睦して信長公の摩下に属し、備中・備後・伯者の三国を進上致したい。ついてはこの旨を信長公に御取り成し下されたい」

と毛利方の意向を伝えた。

秀吉は追って自分の方から返答する、と答えて恵瓊を帰し、その翌日、「お望みとあれば和睦も致しましょう。ところが京都において、信長公は明智のために弑され申した。それでも和睦をお望みあるや」

と申し送った。

毛利輝元・古川元春・小早川隆景の相談は容易にまとまらなかった。しかし隆景が。

「一度和睦の議を申し込んでおきながら、信長が死去したとて約束を違えることは本意ではない。最初申し遣わしたように和睦を結ぶのが妥当と心得る」

と主張したのでその線で決まり、毛利方は、最初申し入れた通り、和睦の運びに変わりはないと返答した。秀吉は大層喜び。

「毛利家の和睦の条件には三ヶ国割譲とあるが、これを申し請ける必要はない。ただ今度の和睦の印しに、備中河辺川(高梁川)を境に東半国を申し請けたい」

と申し送り、盟約を取り交わし、毛利家よりは秀吉側へ人質として、毛利元就の八男毛利藤四郎元綱と桂民部を差し出した。

 

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