備前軍記25


NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第23回「半兵衛の遺言」は、天正7(1579)年11月、有岡城は落城し、土牢から救出された官兵衛は、有馬の湯で湯治して体を癒してゆく。それでも足の不自由な官兵衛は、秀吉に連れられ信長に面会し、変わり果てた姿を晒し信長も官兵衛を許し、又松寿丸も半兵衛の策により生きていたことを信長も知り、半兵衛の死の策に驚いた。

尼崎城に籠った村重は女性の家臣も裏切りの見せしめのため信長により斬首の刑に処せられるのを聞き信長に負けるものかと気が狂ったようになって行く。だしも又、京で処刑された。

姫路に戻った官兵衛は家臣に支えられ又、松寿丸より半兵衛の形見の軍配を手にして軍師の役割の重さを担って立ち上がった。

☆新釈備前軍記 作州三星城攻め並びに落城ののち後藤勝基自害の事

花房助兵衛・延原弾正は、同じ天正7年4月上旬、倉敷村の南の倉掛山に陣を取り、三星城(現美作町明見)の攻撃に取り掛かった。

位田村の鳥奥山に陣城を築き、これを勝間城と名付け、ここに在城して岡山に援兵を乞うた。直家は浮田左京詮家を将として大軍を差し向けた。

詮家らは軍議を開いたが、三星の城内の事情を探るため、湯郷村の長光寺の住僧を招いた。その住僧は、

「三星の城中に、安東相馬・難波利介・柳澤太郎兵衛という勇士がございます。彼らが城を固めている限り落城するとも考えられませぬ。もし計略をもって、彼らを味方に付けることができますれば、落城すること間違いありませぬ」

と語った。

そこで長光寺の住僧に頼み、この三士のもとへ、味方に来たらば恩賞望みに任す旨を密かに申し伝えさせた。住僧は城に入り、密かに三人に会い使いの趣きを伝えた。安東相馬は承知したが、難波利介と柳澤太郎兵衛は納得しなかった。

こうして四、五日を経るうちに、人々も安東の変心を察知したのであろうか、何となく城中は騒ぎ立ち、互いに疑心暗鬼となり、次第に結束は弱まった。大将後藤勝基は妻を招き、

「近ごろ城内の気風は変わり士卒の心は和合せず、互いに疑惑を深めている。これでは到底籠城を続けることはできぬ。余が一人自害し、城中の男女の命を助け、城を敵に明け渡そうと思う」

と語った。

妻はこれを聞き、越後という侍女を呼び、一緒になって誰基を諌めた。

「貴方の御覚悟は決して時宜を得たものとは存じませぬ。誠に無益の御自害と申せましょう。この期に及び、急に敵方に寝返るような武将は訊問して確かめ、罪状明らかならば、これを殺して生年の心を静めたならば、城を堅固に持ちこたえること、何で困難でありましょう。寝返った者を討ち取ることも簡単、なにとぞ妾におまかせ賜われ」

その後間もない或る晩のこと、奥方は城中の頭分の特に料理を振舞うと称し、安東相馬・難波利介・柳滓太郎兵衛及び長光寺を呼び、広間で料理を出し、囲碁などしている所へ、越後というかの侍女が菓子を持ち、

「奥様よりの下されものでございます」

とて安東相馬に渡した。相馬が座を退き、菓子を頂戴していたとき、勝基の妻が物蔭より急に現れ、一刀のもとに相馬の首を打ち落とした。しかし、これを他に漏らさず、密かにとり隠していたので、城中にこの一件を誰ひとり知る者はなかった。その翌朝、相馬の首を大手門外に曝したから、城内で敵方に寝返ろうと考えていたものも震えあがり、変心したものも、また決心を翻したのであった。そのため備前勢が押し寄せ攻め戦っても、倉敷村辺りまでも追い返しよく城を守った。

しかし、城内の裏切り者の仕業か、単なる失火であったのか、本丸より出火し、火の粉は四方に散り、所々の陣小屋は一度に燃えあがった。寄せ手はこの虚に乗じ、急に攻め寄せ城に乗り込んで来たので、防禦の城兵も騒ぎ立て、荒木田村を指して落ちのびたが、延原の軍勢に取り巻かれて討ち死にし、このとき柳澤太郎兵衛も討ち死にした。難波利介は蓮花寺村(現作東町蓮花寺)まで落ちのびた。

西の丸では、寄せ手の進入をここを先途と防ぎ戦った。しかし朝辰の刻(午前八時ごろ)より末の刻(午後二時ごろ)まで息もつかず戦ったため、城兵は戦い疲れ、二十四、五人が枕を並べて討ち死にした。そのため防戦も最早これまでと、皆火中に飛び込んで死んだのである。宇根太郎兵衛は、当時八十三歳の老武者であったが、若武者と同様に奮戦し、静かに具足を脱ぎ、腹掻き切って炎の中に身を躍らせた。

城主勝基は、城の一方を破って逃れ出て、家臣二十八騎を引き連れ、入田原(現同町人田)の山境まで退いたが、備前の兵の追跡が厳しく、家臣はすべて討ち死にした。その隙に勝基ただ一騎長内村(現同町長内)まで退いたが、なお延原の兵が追い掛かったので、最早逃れぬところと観念し、隠れ坂というところで自害して果てた。その首を延原の侍が打ち取って、延原の実検に供した。今も隠れ坂に後藤勝基の墓があるという。

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