躍らされる政治家


躍らされる政治家
 表題の政治家が誰であるかは、思い当たる人は多いと思われます。民意は理想と欲望の塊かも知れません。
 人は火を見つけ、生活を豊かにしましたが、未だに持て余しています。そして、物質の本質を見つけ、原子力を手に入れても悪用のジレンマから脱していません。
 政治理論・経済理論につて語るべくもありません。
 話が飛躍しますが、自然とのハイブリド(融合)型の道を歩むより仕方ないのかもしれません。
 次の論説は学者が大衆をあおることなく、本質を探究することこそ眞の道が見えてくるということでしょうか。
 

拙速な地球温暖化対策を憂える

一科学者の責任は重大 

Makoto MISONO 御園生 誠 東京大学名誉教授日本化学連合会長

科学者と社会

 科学者が(技術者,人文・社会科学者を含めて),社会から敬意を払われ仕事の機会を与えられる根拠は「社会への貢献」と「倫理性」にあると考える。したがって,専門性を活かした判断や判断基準を社会に提示し,社会に正しい選択を促すことは,科学者の社会への重要な貢献であり,倫理,責務でもある。 その意味で,地球温暖化の問題は,科学者がその存在価値を示すよい機会であろう。なぜなら,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告に見られるように科学者の影響力が大きい上,人類の行方を決めかねない重大な問題だからである。

対策のコストパフォーマンス

電気自動車はCO2削減効果があるか?

 次に,CO2削減技術を、 コストパフォーマンズの面かも検証する。太陽光発電で電気自動車を走らせれば,すぐにでも低炭素社会が実現すると思う向きもあるようだが,それは幻想である。「量的関係」と「時間軸」が間違っている。そのことを数値で示して,対策の優先順位について合理的な判断をすべきことを訴えたい。具体的対策のないまま,高い目標がもてはやされる風潮を見るにつけ一層そう思う。まず,量的関係であるが,現時点で,太陽光発電は世界のエネルギー消費量の0.010.02%を占めるに過ぎない。日本でも0.10.2%。日本で数十倍にしても,正味のエネルギー供給量もC02削減量も世界で見れば大した量にならない。それに引き換え,新興国全体で今後25年間に見込まれる排出量の増加は,日本の総排出量(世界の5%弱)よりひとケタ大きい(中国,インドの例を図に示す)。

 次にコストパフォーマンスを考えてみよう。太陽光発電はCO2排出が1kWh当たり53gで、電力平均の420gに比べはるかに少ない。しかし、発電コストは約 45円で(風力発電は約12円)、電力平均の約7円より ずっと高いので,C021トンの削減コストは,45-7) 円/42053g10万円/トンになる。さらに、太陽 光発電が普及すると、供給電力の平準化のため蓄電設備が必要で、そのコストは太陽光発電コストに匹敵すると言われる。仮に半分とすると約10515万円。 排出権取引相場が現在1トン約1,500円だから、その100倍である。他方,原子力発電のコストは電力平均 より安い。評価が難しい廃炉、廃棄物処理などを加えて,削減コストは排出権相場程度であろうか。

  このように太陽光の利用は将来的に期待したいが,大量普及するには現有の技術は未熟だと言わざるを得ない。拙速な普及より,21世紀後半の普及を目指して基幹的な技術の革新に力を注ぐべきである。

 次に,電気自動車の例として、電池だけで走るアイミーブを考えてみよう。担当する軽自動車は10km走るとガソリン約5,000 L (ガソリン代約50万円)を消費し,C02を約12トン排出する(ガソリン1Lから2.4 kg排出)。アイミーブではこれらが節約できる。しかし,10km走る電力のために発電時にC02が約4トン排出される。予定価格が約460万円なので,軽自:動車との価格差は約350万円(高価な理由は大量に積むリヂウムイオン二次電池)。これでCO2削減コストを計算すると,40万円/トン以上になる。他の削減手段に比べてはるかに高額である。

  これに加えて,製造時のC02排出がある。価格から考えてその量は相当大きい。日本のGDP約500兆円に対し約13億トンのC02が排出されるので,単純に言えば,350万円の価格差は約9トンのC02排出に相当する。もし、この値を採用すると、C02排出量はアイミーブの方が大きくなってしまう、(製造業の平均排出量だとさらに大きい)現段階では,削減効果から見ても優先すべき対策とは言えない。太陽電池と同様,じっくり技術革新(特に蓄電池)に取り組めばよい。蓄電技術は,変動する自然エネルギーの利用にも不可欠である。いずれも化学の出番が多い。

 同様に、削減コストは、安価なブラジルからの輸入バイオエタノル、先代プリウスともに約4万円/トンと試算される。もちろん,これらは,およその値で,かつ、将来は安くなる可能性がある。また,大量普及によっても変わる(増減両方の可能性)

 環境の維持にどのくらい費用をかけるのが妥当なのか。また,経済性だけで判断してよいのか,などの問題は残るが、あまりにコストの高い対策は優先順位を下げた方がよい(通常,C02排出量はコストとともに増加)。他の諸対策についても同じようにコストを試算して北較することが有益であろう。

 コストパフォーマンスの議論は机上でやっても埓が明かない。実績に基づいて決着をつけるのがよい。ちなみに知人のオール電化住宅では,15年前に設置した太陽光発電設備の15年間の実績が,買電量:発電量:売電量≒10 :3 :1だそうである。

 

化学と工業Ivol.63T5 Moy 2010

 

 
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