宇喜田直家のまちづくりとは 


                                            矢坂山山頂の富山城跡に備中松山城など合成
 

「矢坂山 富山城」の小冊子の発行後に矢坂本町の砂田清氏より岡山新聞に連載された相賀庚著の「岡山城物語」を見せて頂き、その中に宇喜多直家が富山城を寵略するにあたり親族の三宅氏に「備前統一」と「岡山のまちづくり」を説得材料としていたことに興味が湧きました。

大野村誌にも矢坂山全体もしくは万成山を含め旭川より山の北と南に水を引き込み堀を備えた巨大な城郭とし、矢坂山南部の大野中心に岡山平野の大都市計画があったことが述べられています。備前統一はともかくとして宇喜多直家がいつの頃より岡山の町作りの志を持つようになったか、その時代背景を探ることにしました。

 宇喜多直家については、江戸時代の評価が多く、特に「和気絹」の中で冷酷非情と非難され、「暴虐にして冷酷な人物で貧欲であり、眷属を殺し、あるいは凶悪な手段で暗殺し、主家を追放し強奪するなど、武人の風上に置けない人物だ、との酷評のみが残っている(加藤武徳)」。作為的な歪曲を除き評判の実態をも解析することです。

 宇喜多直家は織田信長より5年早く生まれ、備前統一、全国統一の差はあれ驚嘆の生涯です。6歳にして砥石城において隣城の島村弾正の謀略・急襲により祖父能家の自害と城の落ちるのを目の当たりにします。

 

 

寓味無能な興家父と1年近く流浪の後、備前福岡の豪商安部禅定を頼り、当時物流の拠点として繁栄していた福岡の商都に少なからず影響を受けたと思われます。その支えと備前守護代浦上氏の信任を受けて、吉井川河口に海賊対策の乙子城を築き、能家縁故の家臣も集め、周辺の冠賊も撃退し戦力、財力を備蓄して行きます。乙子城を築く前年1943年に種子島に鉄砲が伝来され、その翌年には善定共々鉄砲を武器として集めて行きます。祖父能家の仇の浮田大和吐石城主を討ち、画策の後、155931歳にして亀山沼城を手中にします。奇しくもこの年信長は上洛し足利義輝に謁見しています。信長が長篠の合戦(1575)で鉄砲を戦術に使い有名ですが、直家はそれより早く三村家親や松田氏重臣宇垣を鉄砲で狙撃し暗殺したり、備中勢との名善寺合戦(1567)において「繰替え、繰替え」鉄砲を撃ち撃退し大勝利しています。福岡の隣の長船の刀鍛冶、遠海貿易、戦術情報を掌握していたならではと考えられます。

 信長は1567年に岐阜楽市楽座に制札を立て、岐阜のまちづくりの発端となり、意図的に安土城築城(1576)に当り城下町にそれをとり入れたことは欧州の都市情報の影響でありましょうか。直家はこれを知り信長と毛利との狭間になる恐れより沼城に代わる強固な城郭都市の建設の必要性を痛感するに至ったとされています。しかし、1568年松田の金川城落城以前に富山城の寵略の働きかけをしていたはずで信長と同時進行的あるいは早くに構想を進めていたと思われます。金光時代の石山城は貧弱なもので豪族屋敷の域をでないもので、一族・家臣の屋敷を配置し、旭川を上ってくる船や定例市により賑う程度でありました。直家は南部の備前平野の穀倉地帯と瀬戸内海運漕の便と東西街道に通じ、軍事的・流通経済的将来を見通し、1573年より石山の本格的築城に取り掛かりました。すぐ東の小高い丘、すなわち岡山の地の社寺を城外に移転させ拡張し、城下には福岡・西大寺の商人を呼び寄せ2階建てを推奨して住まわせました。

織田・毛利狭間で戦乱を繰返し、高松城攻略のため石山城に逗留した秀吉とお福、秀家の関係が直家死後の岡山のまちづくりに大きく影響し、江戸中期には64もの櫓がありその内11櫓につては天守閣に匹敵する3~4階建てで西日本一の壮大なものになって行きました。ちなみに、秀家により6年間の岡山城の大改修が終了した1601年が岡山城築城、開府の年とされています。

宇喜多直家につては、『赤磐郡史』、『悪いやつら』(謀将宇喜多直家 東郷隆著)、『梟雄の妻』(森本 繁著)で語られるように下克上の戦国時代の謀略家として獄評されています。江戸時代初期に書かれた『和気絹抄』の評価が大いに影響していると思われますが、梟(ふくろう)は市の鳥、商売繁盛、知恵者として敬われています。直家が志していた「備前統一」「岡山のまちづくり」は達成され、岡山市、県の発展の祖を作ったといっても過言ではないでしょう。しかし、其の手段は後世にまで語り継がれることは現代の経済主義的な世の中の教訓にもなるでしょう。

宇喜田直家・忠家の一度夢見たであろう「大野城下町」構想は実現することはありませんでしたが、西部副都心として発展しつつあり、巨大な港の替わりに岡山空港が世界に窓を開き、北長瀬駅中心に大野が拠点となることが夢ではないかもしれません。

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